定流量弁は、配管内の圧力が変動した場合でも、設定した流量をできるだけ一定に保つために使用されるバルブです。
冷却水や一般流体の供給、油圧設備など、流量変動を抑えたいさまざまな設備で利用されています。
ただし、同じ定流量弁でも、対象流体、流量範囲、使用圧力、流量精度、設定流量の変更可否、電源の要否などは製品によって異なります。
そのため、メーカー名だけで選ぶのではなく、「何を流すのか」「どの程度の流量を維持したいのか」「圧力条件はどのように変化するのか」を整理したうえで比較することが重要です。
このページでは、定流量弁を扱うメーカー・製品と、選定時に確認したいポイントを紹介します。
定流量弁は、一次側や二次側の圧力が変化した場合でも、内部の圧力補償機構などによって設定流量を維持しやすくするバルブです。
一般的な絞り弁では、バルブ前後の差圧が変わると流量も変化することがあります。一方、定流量弁は差圧変動の影響を抑えながら、一定の流量を保つことを目的としています。
| 項目 | 一般的な流量調整弁 | 定流量弁 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 開度を変えて流量を調整する | 設定した流量を維持する |
| 圧力変動の影響 | 流量が変化する場合がある | 圧力変動の影響を抑えやすい |
| 流量設定 | 手動などで調整 | 固定式・可変式など製品によって異なる |
| 向いている用途 | 流量を都度調整したい設備 | 一定流量を維持したい設備 |
定流量弁の詳しい仕組みや原理については、以下のページで解説しています。
定流量弁を選ぶ際は、メーカー名だけでなく、対象流体や流量範囲、圧力条件、流量設定方法などを比較することが重要です。
ここでは、フロコン大全で掲載している定流量制御に対応したメーカー・製品例を紹介します。
| メーカー | 製品・シリーズ | 主な対象流体 | 流量設定 | 電源 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本フローセル | NFVT型 | 液体、空気、窒素など | 可変 | 不要 | 圧力補償機構を備え、ハンドルで流量設定を変更可能 |
| ケイヒン | FPCシリーズ | 水 | 製品仕様による | 不要 | 差圧変動の影響を抑えながら設定流量を維持 |
| 油研工業 | FG/FCGシリーズ | 油圧作動油 | 可変 | 不要 | 圧力・温度変化を考慮した油圧流量制御 |
| TAICIN | FG/FCGシリーズ | 油圧作動油 | 可変 | 不要 | 圧力補償による流量安定化に対応 |
| 理研精機 | フローコントロール弁 | 作動油 | 可変 | 不要 | 圧力補償やチェック機能を備えた製品を展開 |
同じ「定流量」を目的とする製品でも、水や空気などの一般流体向けと、油圧作動油向けでは、圧力条件や構造が大きく異なります。
まずは自社で扱う流体と設備条件に合うメーカーから絞り込みましょう。
日本フローセルの「NFVT型」は、一次側や二次側の圧力変動による流量変化を抑え、設定流量を維持することを目的とした定流量弁です。
外部から電気や空気圧を供給する必要がなく、配管内の圧力を利用して機械的に流量を調整します。
また、ハンドル操作によって設定流量を変更できるため、一度設定したら変更できない固定式とは異なり、設備条件に合わせて調整したい場合にも候補になります。
主な特徴は以下です。
圧力条件が変わる配管で、電源を使わず一定流量を維持したい場合に検討しやすい製品です。
ケイヒンの「FPCシリーズ」は、バルブ前後の差圧が変化した場合でも、設定流量を維持することを目的とした定流量弁です。
内部のスプリングやニードルなどを利用した機械的な補償機構により、外部の電源や制御信号を使用せずに流量を調整します。
以下のような用途で候補になります。
使用する水質や温度、圧力条件によって適否が異なるため、実際の設備条件をメーカーへ伝えて確認しましょう。
油研工業の「FG/FCGシリーズ」は、油圧作動油の流量を調整し、油圧シリンダーやモーターの速度を安定させるためのフローコントロールバルブです。
圧力変動だけでなく、油温変化による作動油の粘度変化も考慮した流量制御を目的としています。
FCGシリーズなどのチェック機構を備えたタイプでは、片方向の流量を制御しながら、反対方向には比較的自由に作動油を流すことができます。
以下のようなケースで検討できます。
TAICINのFG/FCGシリーズも、油圧回路で一定した流量を維持するために使用されるフローコントロールバルブです。
負荷条件の変化による圧力変動の影響を抑えながら、油圧アクチュエータの速度を安定させたい場合に候補になります。
製品を選定する際は、使用圧力、流量範囲、作動油、油温、取付方式などを確認しましょう。
理研精機では、高圧油圧設備向けのフローコントロール弁を展開しています。
製品によっては、ニードルによる流量調整に加えて、圧力補償機構やチェック機構を備えています。
以下のような用途で候補になります。
定流量弁を比較する際は、流量精度の数字だけで判断するのではなく、実際の使用条件に適合するか確認することが重要です。
まず確認したいのが、どの流体に対応しているかです。
定流量弁には、水、空気、窒素、一般液体、油圧作動油など、製品ごとに想定されている流体があります。
特に水用の定流量弁と油圧用の圧力補償型フローコントロールバルブでは、圧力や粘度などの条件が大きく異なります。
定流量弁は、製品や口径ごとに対応できる流量範囲が決まっています。
選定時には、以下を整理しましょう。
必要流量に対して過大な製品を選ぶと、希望する流量域で適切に制御できない場合があります。
定流量弁には、設定された流量を固定して使うタイプと、ハンドルなどで設定流量を変更できるタイプがあります。
| タイプ | 向いているケース |
|---|---|
| 固定式 | 一度決めた流量を基本的に変更しない、操作ミスを減らしたい |
| 可変式 | 運転条件や設備状況に合わせて流量設定を変更したい |
将来的に流量条件を変更する可能性がある場合は、設定変更の可否も確認しておきましょう。
定流量弁は、どのような圧力条件でも必ず一定流量になるわけではありません。
各製品には、定流量機能を発揮するために必要な使用圧力や差圧範囲があります。
選定時には以下を確認しましょう。
必要な差圧を確保できない場合、設定した流量を十分に維持できない可能性があります。
流量精度は、製品を比較する際の重要な指標です。
ただし、「±2%」「±5%」などの数値だけを見て比較するのではなく、どの基準に対する精度なのかを確認する必要があります。
例えば、以下の条件を確認しましょう。
定流量弁には、配管内の圧力を利用して機械的に流量を調整する自力式の製品があります。
このタイプは、電源やエア、外部コントローラを使わずに一定流量を維持できるため、設備構成をシンプルにしたい場合に向いています。
一方、運転中に設定流量を頻繁に変更したい場合や、PLCなどから遠隔操作したい場合は、比例制御バルブや流量計を使ったフィードバック制御のほうが適することがあります。
定流量弁と比例制御バルブは、どちらも流量を制御する機器ですが、目的が異なります。
| 項目 | 定流量弁 | 比例制御バルブ |
|---|---|---|
| 主な目的 | 設定流量を維持する | 指令値に応じて流量を変更する |
| 外部電源 | 不要な製品がある | 基本的に必要 |
| 流量変更 | 固定または手動調整 | 電気信号などで変更 |
| 制御構成 | 比較的シンプル | コントローラ等が必要 |
| 向いている用途 | 一定量を安定供給したい | 工程中に流量を変化させたい |
「一定量を流し続けたい」のか、「運転条件に応じて流量を変更したい」のかを基準に選ぶと判断しやすくなります。
定流量弁は、冷却水ラインで一定量の水を供給したい場合にも検討されます。
複数の装置へ冷却水を分岐している設備では、ほかのラインの使用状況によって配管圧力が変化し、各装置への流量がばらつくことがあります。
こうした環境では、定流量弁を設置することで、圧力変動の影響を抑えながら必要な冷却水量を確保しやすくなります。
選定時には以下を確認しましょう。
流量が不足すれば冷却性能が低下する可能性があります。一方、必要以上の流量を流すと、ポンプ負荷やエネルギー消費の増加につながる場合があります。
油圧設備では、「定流量弁」という名称よりも、圧力補償形フローコントロールバルブとして製品が展開されていることがあります。
油圧シリンダーやモーターの速度を安定させたい場合は、以下を確認しましょう。
油圧では、負荷圧力だけでなく、温度による作動油の粘度変化も流量に影響することがあります。
一定したアクチュエータ速度が必要な場合は、圧力・温度条件まで含めて選定しましょう。
定流量弁は、「一定量を流せる」という特徴だけで選ぶと、実際の設備では期待した性能を発揮できない場合があります。
同じ定流量弁でも、対象流体や使用圧力、流量範囲、精度は異なります。
水用の製品を油圧設備へ使用することはできないため、用途と仕様を必ず確認しましょう。
定流量弁には、流量を維持するために必要な差圧条件があります。
配管側で十分な差圧を確保できなければ、定流量機能を十分に発揮できない可能性があります。
最大流量が必要量以上だからといって、必ず適した製品とは限りません。
実際に使用する流量が製品の推奨範囲内に入っているか確認しましょう。
導入後に流量変更が必要になった際、固定式では対応できない場合があります。
将来的な設備条件の変更も踏まえて選びましょう。
油などの流体は、温度によって粘度が変化します。
特に油圧用途では、低温時と高温時の両方で適切に制御できるか確認する必要があります。
冷却水では錆やスケール、油圧回路では作動油中の汚染物質がバルブ内部へ入り込み、動作に影響する場合があります。
必要に応じてフィルターやストレーナーを設置し、メンテナンス方法も確認しましょう。
メーカーへ相談する際は、「定流量弁が欲しい」と伝えるだけでなく、実際の配管条件を整理しておくと選定がスムーズです。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 対象流体 | 水、空気、窒素、作動油など |
| 必要流量 | L/minなど |
| 流量設定 | 固定式か可変式か |
| 一次側圧力 | 入口側の圧力 |
| 二次側圧力 | 出口側の圧力 |
| 差圧 | 最低・最大差圧 |
| 流体温度 | 最低・最高温度 |
| 粘度 | 油などの場合に確認 |
| 必要精度 | 許容できる流量ばらつき |
| 接続口径 | 配管サイズ・接続規格 |
| 材質 | 耐食性などの要求 |
| 電源 | 使用可能か、電源不要が望ましいか |
| 設置場所 | 屋内・屋外、設置スペースなど |
| 数量 | 導入予定台数 |
定流量弁は、圧力変動がある設備でも流量を安定させたい場合に役立ちます。
ただし、製品ごとに対象流体や流量範囲、圧力条件などが異なるため、「定流量弁」という名称だけで選ぶことはできません。
比較する際は、以下を確認しましょう。
「自社設備でどの条件が変化し、その中で何L/minを維持したいのか」を整理してから比較すると、用途に合ったメーカー・製品を絞り込みやすくなります。
定流量弁や圧力補償型フローコントロールバルブを扱うメーカーとして、日本フローセル、ケイヒン、油研工業、TAICIN、理研精機などがあります。対象流体や用途が異なるため、メーカー名だけでなく製品仕様を比較して選びましょう。
製品によっては可能です。内部のスプリングや圧力補償機構を利用する自力式定流量弁は、電気や空気圧を使用せずに流量を維持します。
製品によって異なります。あらかじめ設定された流量で使用する固定式のほか、ハンドルなどで設定流量を変更できる可変式もあります。設備条件を変更する可能性がある場合は、可変式かどうかを確認しましょう。
フローコントロールバルブは、流量を調整・制御するバルブ全般を指す広い概念です。定流量弁はその中でも、圧力変動などがあっても設定した流量を維持することを主目的とした製品です。
必ずしもそうではありません。各製品には使用圧力や差圧などの仕様範囲があり、その範囲内で定流量性能を発揮します。最低差圧を下回る場合などは、設定流量を維持できないことがあるため、製品仕様を確認しましょう。
複数設備への分岐などで圧力が変動する環境において、各ラインへ一定量の冷却水を供給したい場合に候補になります。必要流量だけでなく、差圧、水温、水質、異物・スケール、配管条件まで確認して選定しましょう。