ボールバルブは、内部に穴の開いた球状の弁体を回転させることで、流路を開閉するバルブです。90度程度の回転で全開・全閉を切り替えられ、全開時の圧力損失を抑えやすいことから、工場設備や装置配管など幅広い用途で使用されています。
一方、ボールバルブならどの製品でも同じ用途に使用できるわけではありません。手動・電動・空圧といった操作方式の違いに加え、2方・3方、フルボア・レデューストボア、ON-OFF用・流量調整用など、さまざまな種類があります。
特に注意したいのが流量調整です。一般的なON-OFF用ボールバルブは、半開状態での連続使用を想定していない製品があります。一方で、流量制御を目的に設計されたボールバルブや、入力信号に応じて開度を調整できる比例制御タイプもあります。
このページでは、ボールバルブの代表的なメーカー・製品を紹介しながら、種類ごとの違いや用途に応じた選び方を解説します。
ボールバルブには、配管を単純に開閉する製品から、流路切替、自動開閉、流量調整までさまざまな製品があります。
| メーカー | 製品・シリーズ | 操作方式 | 主な特徴・用途 |
|---|---|---|---|
| KITZ | 青銅・黄銅・ステンレス鋼製ボールバルブなど | 手動・電動・空圧 | 水・油・ガスなど幅広いラインアップ |
| フジキン | DBV-12シリーズ | 手動 | 黄銅製のコンパクトなねじ込み式 |
| フジキン | CBV3シリーズ | 手動 | 流量制御に対応、複数のCv値をラインアップ |
| CKD | MXB1・MXG1 | 電動 | 2・3ポート、一般流体から純水まで対応 |
| CKD | MXBC2・MXGC2 | 電動比例制御 | 入力信号に比例した開度調整 |
| CKD | CHB・CHG | 空圧 | 低圧損・大流量、エア駆動による強力開閉 |
| CKD | MHB4・MHG4 | 電動 | 小形・軽量、装置組込み向け |
| CKD | MSB | 電動 | 蒸気用2ポートボールバルブ |
単純な配管の開閉であれば一般的なボールバルブが候補になりますが、流量調整や温度制御を目的とする場合は、流量制御を想定した製品かどうかを確認することが重要です。
ボールバルブは、中央に穴が開いた球状の弁体を回転させることで流路を開閉するバルブです。
一般的な2方ボールバルブでは、
全開
→ ボールの穴と配管の向きが一致
→ 流体が通過
全閉
→ ボールを90度回転
→ 流路を遮断
という仕組みで開閉します。
構造が比較的シンプルで、短い動作角度で開閉できるため、手動操作だけでなく電動・空圧アクチュエータを取り付けた自動バルブとしても広く使用されています。
KITZの小口径自動操作用ボールバルブでも、青銅・黄銅・ステンレス鋼製など複数のラインアップが用意され、低い圧力損失や自動化への対応が特徴として挙げられています。
KITZでは、青銅・黄銅・ステンレス鋼などさまざまな材質のボールバルブを展開しています。
小口径の設備配管からプラント用途まで製品群があり、手動だけでなく電動・空圧アクチュエータを組み合わせた自動操作にも対応しています。
使用できる流体、温度、圧力は製品・材質・シート仕様などによって異なるため、実際の使用条件に合わせて選定する必要があります。
KITZでは、一般的なボールバルブについて半開状態での使用を避けるよう案内しています。
半開状態では流れがシート付近へ集中し、シートが損傷して漏れにつながる可能性があるためです。
ただし、メーカーが流量調整用として設計しているボールバルブについては、この限りではありません。
そのため、
配管を開ける・閉める
→ 一般的なON-OFF用ボールバルブ
中間開度を使用して流量を調整する
→ 流量調整用・比例制御用ボールバルブ
というように、目的によって製品を使い分けることが重要です。
フジキンのDBV-12シリーズは、コンパクトな黄銅製ねじ込み式ボールバルブです。
メーカー公式情報では、代表的な仕様として最高使用圧力1.96MPa、使用温度-10~80℃の製品が掲載されています。
| 操作方式 | 手動 |
|---|---|
| 材質 | 黄銅製 |
| 接続形式 | ねじ込み式 |
| 最高使用圧力 | 1.96MPa ※代表仕様 |
| 使用温度 | -10~80℃ ※代表仕様 |
具体的な使用可否については、流体・圧力・温度・シール材などを確認したうえで選定しましょう。
フジキンのCBV3シリーズは、一般的なON-OFF用途だけではなく、流量制御への対応を特徴としている手動ボールバルブです。
公式情報では、
といった特徴が紹介されています。
一般的なボールバルブでは中間開度での長時間使用を避ける必要がある製品もありますが、CBV3シリーズのようにメーカーが流量制御用途を明示している製品であれば、流量調整の選択肢になります。
CKDのMXB1・MXG1は、電動アクチュエータによって開閉するボールバルブです。
MXB1は2ポート、MXG1は3ポートで、メーカーでは低圧損でウォータハンマを抑えた電動式ボールバルブとして展開しています。
幅広い接続口径とオプションがあり、一般流体から純水までさまざまな用途に対応しています。
| MXB1 | 2ポート |
|---|---|
| MXG1 | 3ポート |
| 操作方式 | 電動 |
| 接続口径 | 3/8~2までのラインアップ |
| 特徴 | 低圧力損失、大流量、一般流体から純水まで対応 |
CKDのMXBC2・MXGC2は、入力された電気信号に比例してバルブ開度を調整できる電動式ボールバルブです。
通常のON-OFF用ボールバルブとは異なり、中間開度を利用して流量や温度などを調整するプロセス用途を想定しています。
| MXBC2 | 2ポート |
|---|---|
| MXGC2 | 3ポート |
| 制御方式 | 電気信号による比例制御 |
| ボディ材質 | 青銅・ステンレス |
| 接続口径 | MXBC2:Rc3/8~1 MXGC2:Rc1/2~1 |
| 主な用途 | 温度制御など各種プロセス |
ボールバルブを流量調整へ使用したい場合は、このような比例制御を前提として設計された製品を選択する方法があります。
CKDのCHB・CHGは、圧縮空気を利用して開閉するエアオペレイト式ボールバルブです。
メーカーでは、エア駆動による強力な開閉、異物への対応、低圧力損失・大流量を特徴として紹介しています。
| CHB | 2ポート |
|---|---|
| CHG | 3ポート |
| 操作方式 | エアオペレイト |
| 特徴 | 低圧損、大流量、エア駆動による強力開閉 |
| その他 | 電磁弁搭載タイプあり |
CKDのMHB4・MHG4は、装置への組込みを想定した小形・軽量の電動式ボールバルブです。
接続口径Rc3/8~3/4に対応し、設置スペースが限られた小型装置などで検討できます。
CKDのMSBは、蒸気ライン向けに設計された電動式2ポートボールバルブです。
メーカーでは、低圧損で大流量を制御可能な蒸気用電動式ボールバルブとして展開しています。
蒸気に使用する場合は、単に「ボールバルブ」であることだけでなく、対象製品の使用温度・圧力が実際の蒸気条件に対応しているかを確認してください。
ボールバルブを選ぶ際は、メーカー・製品名だけでなく、流路数や内部流路、操作方式などの違いを理解しておくことが重要です。
2方ボールバルブは、入口と出口の2つのポートを持つ基本的な構造です。
主に、
開く
⇅
閉じる
という配管のON-OFF用途で使用されます。
単純な遮断目的であれば、まず2方ボールバルブが候補になります。
3方ボールバルブは、3方向に接続口を持ち、流体の流れを切り替えたり、分配したりする用途で使用されます。
代表的な内部流路には、
などがあります。
ただし、どのポート同士が接続されるかは製品・流路パターンによって異なります。
KITZでは、3方ボールバルブについて全閉できる製品はなく、製品カタログで切替フォームを確認するよう案内しています。
ボールバルブは、内部の流路径によってフルボアとレデューストボアに分けられます。
フルボアは、バルブ内部の流路径を配管内径に近づけた構造です。
レデューストボアは、バルブ内部の流路径が接続配管より小さくなっている構造です。
| 比較項目 | フルボア | レデューストボア |
|---|---|---|
| 内部流路径 | 配管内径に近い | 配管内径より小さい |
| 圧力損失 | 抑えやすい | 大きくなりやすい |
| 大流量 | 向いている | 必要流量を確認 |
| 本体サイズ | 大きくなる場合がある | 小型化しやすい |
「フルボアの方が常に優れている」というわけではありません。必要な流量、圧力損失、設置スペース、コストなどから選択しましょう。
| 比較項目 | 手動 | 電動 | 空圧 |
|---|---|---|---|
| 操作方法 | ハンドル | モーター | 圧縮空気 |
| 遠隔操作 | 基本的に不可 | 可能 | 可能 |
| 自動化 | 不向き | 向く | 向く |
| 必要設備 | 基本不要 | 電源 | 圧縮空気源 |
| 向いている用途 | 現場での開閉 | 装置・設備の自動化 | 工場設備の自動開閉 |
頻繁に開閉せず、作業者が現場で操作できる配管では手動式が候補になります。
アクチュエータや電源・エア配管が不要なため、比較的シンプルな構成にできます。
電動式は、電気信号によって遠隔操作したい設備や、圧縮空気源がない場所などで検討できます。
比例制御に対応する製品であれば、中間開度を利用したプロセス制御にも使用できます。
工場内に圧縮空気設備があり、自動開閉したい場合は空圧式が候補になります。
製品によっては強力な開閉力や比較的速い動作を利用できるため、工場設備の自動化で使用されています。
ボールバルブを流量制御へ使用する場合に、最も重要なのが一般的なON-OFF用と、流量調整用を区別することです。
| 比較項目 | 一般的なON-OFF用 | 流量調整用 |
|---|---|---|
| 主な用途 | 遮断・開閉 | 流量調整・プロセス制御 |
| 中間開度 | 避ける必要がある製品あり | 使用を想定 |
| 流量特性 | 流量調整を主目的としていない | 制御特性を考慮 |
| Cv値 | 製品仕様による | 複数Cvから選べる製品あり |
| 比例制御 | 通常はON/OFF | 対応製品あり |
一般的なボールバルブでは、ボールを全開または全閉にして使用することを前提としている製品があります。
中間開度で長時間使用すると、流体がシートの一部へ集中し、損傷・漏れにつながる可能性があります。
ボールバルブ構造を利用しながら流量を調整したい場合は、
などを検討します。
フジキンのCBV3シリーズやCKDのMXBC2・MXGC2のように、メーカーが流量調整・比例制御用途を想定している製品を選ぶことが重要です。
最初に、バルブを設置する目的を明確にします。
同じボールバルブでも、目的によって必要な構造は異なります。
次に、何を流すのか確認します。
流体によって必要な本体材質やシート材が異なるため、「ボールバルブなら何でも流せる」と考えず、メーカーが示す適用流体を確認しましょう。
ON-OFFだけで使用する場合でも必要流量を確保できるか確認します。
流量調整へ使用する場合は、最大流量だけでなく通常・最小流量も重要です。
必要以上に容量が大きい製品では、通常運転時に小さな開度しか使用できず、流量の微調整が難しくなる可能性があります。
使用する製品が、設備で発生する圧力・温度条件に対応しているか確認します。
蒸気や高温流体では特に、ボール本体だけでなくシート・シール材の使用温度まで確認しましょう。
流体へ接触するのはボディだけではありません。
選定時には、
などの材質を確認します。
特に薬液の場合は、流体名だけでなく濃度・温度などもメーカーへ伝えて適合性を確認してください。
現場で人が操作するのであれば手動、PLCや制御盤から遠隔操作するなら電動・空圧などが候補になります。
空圧式の場合は圧縮空気源、電動式の場合は使用電源や制御信号も確認しましょう。
流量調整を行う場合は、一般的なON-OFF用ボールバルブを単純に半開で使用するのではなく、流量制御を想定した製品を選ぶことが重要です。
例えば、
などから用途に合ったものを検討しましょう。
ボールバルブの基本的な用途です。
90度程度の回転で全開・全閉できるため、水・油・空気などの供給・停止に使用できます。
フルボアタイプなど、全開時に直線的な流路となる製品は、流路抵抗を抑えやすいことが特徴です。
流量を絞る必要がなく、大流量をそのまま通過させたい配管ではボールバルブが候補になります。
3方ボールバルブを利用すれば、複数配管の流路切替や分配が可能です。
ただし、Lポート・Tポートなどによって切替パターンが異なるため、使用したい流路と一致するか確認してください。
電動・空圧アクチュエータを組み合わせたボールバルブであれば、PLCや制御盤から遠隔操作できます。
作業者が現場へ行ってハンドル操作する必要を減らし、自動設備へ組み込むことができます。
一般的なON-OFF用ボールバルブは、中間開度での連続使用を想定していない製品があります。
細かな流量調整が必要な場合は、流量調整用ボールバルブのほか、グローブバルブやニードルバルブ、比例制御バルブなども比較しましょう。
微量な液体・気体を細かく調整する場合は、一般的なボールバルブでは制御範囲が合わないことがあります。
微小流量用のニードルバルブや比例電磁弁なども候補になります。
粉体は液体とは異なり、粒径、かさ密度、流動性、付着性などによって流れ方が変わります。
粉体の連続流量調整では、ボールバルブだけでなく、チョークバルブやアイリスバルブなど粉体特性に合った構造も比較しましょう。
ボールバルブでも、必要流量や圧力損失を確認せずに口径だけで選ぶと、必要な流量を確保できない場合があります。
特にレデューストボアでは内部流路が配管より小さいため、流量・圧力損失を確認しましょう。
ボディ材質が使用流体へ対応していても、ボールシートやOリングが適合していなければ、膨潤・硬化・漏れなどが発生する可能性があります。
一般的なON-OFF用ボールバルブでは、半開使用によってシートが損傷する可能性があります。
流量を調整する場合は、メーカーが流量制御用途を認めている製品を選びましょう。
3方ボールバルブは、製品によってどのポート同士が接続されるか異なります。
Lポート・Tポートや切替フォームを確認し、必要な流路を作れるか確認してください。
蒸気では高温・高圧になるため、一般流体向け製品では使用できない場合があります。
蒸気温度・圧力へ対応するバルブとシート材を選択してください。
電動なら電源・制御信号、空圧なら供給エア圧などが必要です。
バルブ本体だけでなく、アクチュエータを動かすための設備条件も選定時に確認しましょう。
製品によります。
一般的なON-OFF用ボールバルブでは、半開状態で使用するとボールシートが損傷し、漏れにつながる可能性があるため、中間開度での使用を避けるよう指定されている製品があります。
流量調整が必要な場合は、流量調整用、Vポート、比例制御タイプなど、その用途を想定して設計された製品を選びましょう。
一般的なボールバルブは、全開時の圧力損失を抑えながら流路を開閉する用途に向いています。
一方、グローブバルブは弁体を上下させて流路を絞る構造で、流量調整用途に利用される製品が多くあります。
ただし、ボールバルブでも流量調整を想定した製品があるため、バルブ形式だけでなく製品仕様を確認してください。
2方ボールバルブは、基本的に1本の配管を開閉する用途で使用します。
3方ボールバルブは、複数の流路を切り替えたり分配したりする用途で使用します。
3方タイプでは製品ごとに流路パターンが異なるため、カタログの切替フォームを確認しましょう。
設備環境や必要な動作によって選びます。
圧縮空気設備がなく、電源を利用して遠隔操作したい場合は電動式が候補になります。
工場内に圧縮空気設備があり、空圧による自動開閉を行いたい場合はエアオペレイト式も候補になります。
必ずしもフルボアが適しているとは限りません。
フルボアは圧力損失を抑えやすい一方で、製品によってはサイズやコストが大きくなる場合があります。
必要流量、許容できる圧力損失、設置スペースなどから選択しましょう。
蒸気対応のボールバルブであれば使用できます。
ただし、使用できる最高温度・圧力やシート材質は製品によって異なります。
「ステンレス製だから蒸気に使える」と判断せず、メーカーが示す圧力・温度レーティングと適用流体を確認してください。
ボールバルブは、流路を短い動作で開閉でき、全開時の圧力損失を抑えやすいことから、工場・装置配管で幅広く使用されています。
ただし、「ボールバルブ」という名称だけで製品を選ぶのではなく、まず何をしたいのかを整理することが重要です。
配管を開閉したい
→ 一般的な2方ボールバルブ
流路を切り替えたい
→ 3方ボールバルブ
遠隔で開閉したい
→ 電動式・空圧式ボールバルブ
流量を調整したい
→ 流量調整用・比例制御用ボールバルブ
蒸気を流したい
→ 蒸気対応ボールバルブ
というように用途から製品タイプを絞り込みます。
そのうえで、
用途
↓
流体
↓
最大・通常・最小流量
↓
圧力・温度
↓
接液部材質
↓
2方・3方
↓
フルボア・レデューストボア
↓
手動・電動・空圧
↓
流量調整の有無
の順に条件を整理すると、適した製品を選びやすくなります。
特に流量調整を行う場合は、一般的なON-OFF用ボールバルブをそのまま半開で使用せず、メーカーが流量制御用途を想定している製品を選ぶことが重要です。